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■横浜ポートサイド/未来へと続いていく可能性


新しく走り出したみなとみらい線の横浜とみなとみらいの間に「新高島」という駅がある。まだそこに降り立った人はほとんどいないと思う。というのは、この駅は将来の開発のためにつくられているからで、今のところ付近に施設はほとんどない。地上に上がると圧倒的な風景に遭遇することができる。巨大な空地だ。横浜と桜木町の間に、これだけ巨大な敷地があったとは。頭の中に描かれる地図は、ポッカリ穴があいたように印象になかった。造成が進みここにはマンション群が建ち始める。横浜から一駅、湾岸の夜景を一望できる神奈川有数の利便性の高い居住エリアになることは間違いない。最近、東京でも高層マンションラッシュが続くが、それが横浜にもやってくる。

この空地の川を挟んで対岸には横浜ポートサイドというエリアがある。うねった芝生のマウンド、葦の河岸に突き出たデッキ、不思議なかたちをしたオブジェ……。ちょっと普通の公園とは様子が違う。ここは、日本ではまだめずらしいランドスケープアーキテクト、長谷川浩己がデザインしたものだ。港湾内護岸の環境回復の実験も行われていて、普通なら波消しブロックが並ぶはずの場所に葦が生い茂っていろいろな生物が住みついている。 都市と身近な自然の貴重な接点をつくることがコンセプトだった。
まだ居住人口は少なく、人影はまばらだが、新高島周辺にマンションが建ち始める頃には、きっとにぎやかなウォーターフロントの風景へと変わっていくことだろう。






■裏横浜/やはり裏は面白い


「裏横浜」。はたしてそういった呼び方が存在しているのか気になって、グーグルで検索してみた。すると一件だけ「ウラ横」と名付けて店の紹介などをしているサイトを発見した。それは個人が趣味でつくっているもののようだった。僕はこのエリアを「裏横浜」と呼んでみることを提案したい。この場所には高いポテンシャルを感じた。最近、日本橋や東京のイーストサイドなどでエリア活性化の仕事をしていて、可能性のある場所(ポテンシャルエリア、と呼んでいる)に対して敏感に嗅覚が働くようになっている。「裏横浜」は大化けするような気がする。

「裏原宿」がいつ頃からそう呼ばれるようになったかは定かではないが、そのエリアの名前ができてから、僕らはイメージを持ちやすくなった。原宿の裏通り、そこはまだ表に出ない、ちょっとアンダーグランドの匂いがする何かが起き始めているのでは……。こんな印象を持った。

場所に名前が付けられ、人が意識しやすくなる、それが活性化を加速する。「裏横浜」はその夜明け前の気配に溢れている。

では「裏横浜」とはどこなのだろうか? 横浜駅の西口には誰でも降り立つだろう。そこは横浜の中心繁華街である。では逆側の東口、ここを歩いた人はほとんどいないのではないだろうか。これだけの大きな都市の駅で、駅の片側がこれだけ印象に薄く、手つかずな例はちょっと思い出せない。高速が通りその高架下を抜けていくと市場がある。横浜中央卸売市場、関東ではもっとも古い歴史を持つ市場だ。その周辺にはやはり市場独特の空気が流れている。まるで時代が遡ったような、どこか寂しげでなつかしいあの感覚。そこにはちょうどいいくらいに古びた小さなビルがたくさんあって、それらはアーティストや建築家たちがいかにも好きな質感を持っている。しかも海に近く、横浜駅にも近い。近くには大きな公園がある。よく見渡すと、ポツポツとレストランなどができ始めている。とにもかくにも、注目のエリアである。




 

新高島の駅を降りると、未来的な空間のエスカレーターが
>新高島駅

駅前には、広大な空き地が広がる。不思議な光景である。
>横浜ポートサイド

駅から少し歩くと整備されたポートサイドへ。素敵な結婚式場などもある。
横浜ポートサイド

河沿いには不思議なランドスケープが広がる。
>横浜ポートサイド

市場の脇には小売りにも対応してくれる問屋さんや食堂が。
>裏横浜

高速脇には公園もひろがる。
>裏横浜
ナビゲーター  馬場正尊(ババ マサタカ)

■ プロフィール
1968年佐賀県生まれ。雑誌『A』編集長、BABA ATELIER and Associates Ltd.主宰。
1994年早稲田大学大学院建築学科修了
2001年同大学建築学専攻博士課程満期退学
94〜2001年6月博報堂にて「世界都市博覧会」「東京モーターショー」などの都市計画、事業計画に携わる。現在、雑誌『A』編集長を務めると共に、設計活動、都市計画などを行う。近況に、沖縄チルドレンズミュージアム、アパレルショップ「FIRM ROOTS」、レゾナンスオフィスのインテリア設計、東京都心部の都市計画など。都市活性化のR-projectのディレクターとしても活動。

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