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僕が“アーバニスト”と名乗る理由はよく聞かれますが、第一には、建築家という範疇に自分の興味が収まらないからです。それでは“アーバン・プランナー”“都市計画家”はどうかと言うと、例えば都市に敷設する道路のことを考えたりはしても、そこに住む人々や、彼らの文化との接点はそれほどないわけです。一方、別の言葉で“アーバニズム”というのがありますが、これはまさに文化なども含めて“都市のこと”を指す言葉です。それを考える人という意味で “アーバニスト”なんですね。

もちろん、都市のことと一口に言っても、そのスケールは様々です。例えば、昨年参加した『神田RENプロジェクト』では、古いビルの空室をローコストでコンバージョン(用途転換)し、席単位でフレキシブルに活用できるレンタルオフィスへ転用させました。これは地元の千代田区において、街づくりや都市再生について検討するなかで生まれたプロジェクトです。

昨年9月にそのコラボレーションオフィス「REN-BASE UK01」が完成したのですが、続けて同地区にある空きビル、空きフロアを有効活用し、さらにネットワーク化していくことで効果的に活性させていくのが目標です。

巨大なテナントビルをひとつ建てるような活性化計画と違って、地域内に散在する空き場所を活かし、いわば巨大ビルの機能を分散して置いていくような作業ですね。そこでは地元の活動や文化と交わっていく事が必然的に求められるはずで、良い意味でのすり合わせが始まると思うのです。





コラボレーションオフィス「REN-BASE UK01」
(C)高山幸三






電力館1F2Fリニューアルプロジェクト。
工事中の写真。1月31日に正式オープン。



僕自身が働き方について取り組んできたこととしては、個対個の繋がりから生まれる“ネットワーク”、そして、そのネットワークを活かせる“場”としてのプラットホーム作りです。

個対個のネットワーキングという点では、建築家やデザイナーによる「テレデザイン・コラボレーション」という緩やかなネットワークで、様々なタイプ・規模のプロジェクトに、その都度適したチームを組んで関わっています。

デザイン分野では、組織化が進むほど冒険を避けてスタンダードなデザインになってしまう事があります。そういう形ではなく、個の能力を活かせる組織を、と考え始めたのは90年代の初頭でした。もっとも、当初はそんな話をしても理解してもらえないことが多かった。でも世の中の流れというか、97〜8年くらいになると大企業もカンパニー制を導入したり、囲い込みとは逆の方向に一気に動き出してきました。

世の中の仕事はすべてネットワークで行われていて、なかでも創造的なプロジェクトは、キーパーソン達が個対個として関わり合う中で発展する事も多い。旧 来のピラミッド型組織に固執せず、個人の能力を活かせる組織のかたちを考えるのが、今後一層重要になると思っています。



次に“場”としてのプラットホームについては、96年に三田に設立した『オープンスタジオNOPE』が拠点になっています。ここでは建築設計者、WEBデザイナー、アート・キュレーターなどが各々の活動を行い、僕もその場所の一員です。様々な人が出入りして外部とつながっていく、ノード(節)としての場所ですね。

単なる共用オフィスではなく、活動を共有するというのがポイントです。といっても何か義務的なものがあるわけではなく、一緒に出来ることがあればぜひやりましょう、という形ですね。単純に人と出会う機会を考えてみても、同じ仕事を一人SOHOでやっているのに比べると圧倒的に多いですし。

オープンスタジオという言葉は、以前ロンドンにいたころの経験から使っています。アーティストのスタジオが街の各地にあって、どこも年に数回、自分のスタジオを会場にしたエキシビジョンを開くんですね。そこにはキュレーターや批評家たちも訪れて、優れた新人が発掘されたり、ときには大きな展覧会の話に発展したり……。そんな、都市に上手く馴染んだ仕組みを僕も作ってみたいと思いました。

もちろんNOPEでも、年に1回はオープンスタジオを実施しています。僕にとってNOPEは都市であり、人の集まり方をデザインする場だと考えます。そして、“都市のこと”を考える実験場でもあります。


従来の典型的な組織は、ある仕事場で100人が働いているとすると、その100人は常に同じ顔ぶれだった。今後は、同じ場所に常に100人いるとしても、その100人が絶えず入れ替わっているくらいの状態が自然な姿だと思います。さらに、その人々が場所に拘束されるのではなく、場所を上手く使えたら理想的ですね。
“人のつながり方”と“場所の作り方”についても、互いが緩やかに協働していけたら一番良いと思っています。






『オープンスタジオNOPE』の内部空間


田島則行(タジマ ノリユキ)

プロフィール:1964年生まれ。工学院大学建築学科卒業。AAスクール大学院修了。1993年に独立し、1996年には東京の三田にオープンスタジオNOPEを設立。1999年よりテレデザインとしてネットワークによる設計活動を開始。現在、工学院大学および関東学院大学にて非常勤講師を務める。99年に横浜デジタルデザインコンペで優秀賞を受賞。

http://www.tele-design.net/

建築設計: 「House of GEO FLUXUS」「A-Complex」「Art des Anges」ほか

エキジビション: 「メタ東京プロジェクト」1995年(NEC/P3/RACE)
「動態都市プロジェクト」1998年(建築会館)
「ソシオランドスケープ」誌上エキジビション(『10+1』19号)

著書・訳書:『Tokyo - a guide to recent architecture』(1995年、エリプシス出版)
『Tokyo - Labyrinth City』(1996年、エリプシス出版)
『Landscape Transcripts』(1997年、バッツフォード出版)
『シティ・オブ・ビット』共訳(Willium.J.Mitchell著、1996年、彰国社)
『都市/建築フィールドワーク・メソッド』共編著(2002年、INAX出版)




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